
こんにちは!おウマです
今回は『名馬の馬体診断』シリーズ3回目!

今回はアーモンドアイとデアリングタクトの馬体診断結果を比較していくよ
比較する目的

『名馬の馬体診断』では、共に牝馬三冠馬を達成し、ジャパンカップでしのぎを削った2頭の馬体診断を行ってきました。
今回は、両馬の馬体診断の結果を比較し、どのような共通点があるのか、あるいは違いがあるのかを考察していきます。
2頭の比較で得られた発見
今回、三冠馬2頭を比較したことで、以下のような気付きがありました。
■胸の広さ■
どちらも広い胸を持っていた。
広ければ広いほど、心肺機能の高さ=能力に繋がると予想される。
■前腕と管の比■
両馬ともに、前腕と管の比が約3:2だった。
前腕が管の長さの1.5倍以上だと優秀という線引きができそう。
■背と腹のライン■
長躯短背はいずれにも共通する特徴だった。
両馬とも、腹のラインが背のラインの1.2倍に近い長さだった。
今後ほかの名馬の馬体診断を進めていく中で、精査していきたいデータのひとつ。
■トモの大きさと骨盤のブレ■
トモの大きさについては、そのまま地面を蹴って生み出す推進の大きさに繋がるので、重要なファクターなのは間違いない。
しかし、骨盤のブレによってその推進が削がれてしまうので、骨盤のブレはかなり重要な指標となりそう。

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アーモンドアイとデアリングタクトの比較
馬場適性を示す特徴


赤がアーモンドアイ、水色がデアリングタクトの診断結果です!
両馬ともに正常の範囲内ですが、デアリングタクトは繋ぎが立ち気味で、靱帯や、球節や管骨に負担が掛かる構造をしています。
踏み込み時(写真右)の球節の沈み具合は比較すると一目瞭然です。
アーモンドアイは球節が深く沈んで柔らかみのある歩様、デアリングタクトは球節の沈み込みが小さく、弾むような力強い歩様になっています。
また、アーモンドアイの方が遠くに前肢を着地していますね。
これは、この後紹介する首の使い方に起因するものですが、着地時(写真左)の前肢の角度からも読み取ることができます。
より遠くに着地した方が、大股になりますので、必然的に地面との距離が浅くなります。
距離適性を示す特徴

アーモンドアイの方が角度はきつく、短距離適性を示しています。
ヨーイドン競馬にならずに適性が強く問われる有馬記念での失速は、体調面の不良も相まって然るべき結果だったのかもしれません。
ラインが腰から緩やかに上がって下がっているデアリングタクトに対して、アーモンドアイは腰からきつい傾斜で頂点に達し、緩やかに下がった後、最後にストンと落ちています。
尻尾が始まる位置に注目すると分かりやすいですね。デアリングタクトの方が高い位置から尻尾が出ています。
どちらも体高と体長の比はほぼ1:1です。
厳密に見れば、アーモンドアイが縦長の長距離型、デアリングタクトは横長の短距離型になりますが、戦績と比例しませんので、極端に差がない場合は無視して良さそうです。
比較してみると、アーモンドアイは『短・太型』、デアリングタクトは『長・太型』です。
『長・太型』は首や肩周りの筋肉に硬さが出やすいので、まだ現役のデアリングタクトについては、今後もケアに悩まされるシーンが出てきそうです。
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馬の能力を示す特徴【上半身】

両馬ともに広く余裕のある胸ですが、比較するとデアリングタクトの方が広いです。
デアリングタクトの予想適性はダートの中距離を示していますから、芝路線を行っている今は、まだまだ底を見せていない状態だと思います。
前腕と管の長さの比は、どちらもほぼ同じでした。
前腕が長い方が力強い脚捌きに繋がりますから、このくらいの戦績の馬にはマストな条件になっているかもしれません。
アーモンドアイは素晴らしい首の使い方で、頭を規則的に振り子のようにして重心移動ができています。
デアリングタクトもしっかり歩いている場面を切り取れば、上手に左右に振って重心移動ができていますが、時折頭を上げたり、引手にちょっかいを出したりと、少し集中できていない面が目立ちました。
馬の能力を示す特徴【下半身】

どちらも腹のラインの長さが、背のラインを大きく上回っており、長躯短背の特徴を示しています。
この『背と腹のライン』と『胸の広さ』は、走る馬とそうでない馬とを分ける大きな判断要素だと感じています。
馬体に対するトモの大きさは、どちらも変わりありません。
トモの大きさは重要ですが、のちに紹介する『骨盤のブレ』がないことの方が重要だと推測します。
骨盤のブレについては、デアリングタクトがパーフェクトです。
アーモンドアイもかなり優秀な部類だと思いますが、この部分については相手が悪かったと言わざるを得ません。
骨盤ブレがない歩きは、後肢で地面を蹴って得た推進を、そのまま真っ直ぐに上半身に伝える助けとなっています。
故障リスクを示す特徴

どちらも肢部白斑は見られず、蹄も正常な黒蹄です。
皮膚の弱さや蹄疾患に悩まされるリスクは小さいでしょう。
補助線を入れるとはっきりしますが、デアリングタクトは弓脚です。
結果的に三冠馬を逃すことになりますが、出資の候補からは外した方が良いと思います。
それほどに、弓脚による腱や靱帯への負担は大きいです。
どちらも内弧歩様ですが、強く気にするほどのものではありません。
ただ、デアリングタクトは弓脚という特徴もあるので、よりリスクが増長されてしまったかもしれません。
どちらも正肢勢の範囲に収まっていますね。
強いて言うならアーモンドアイの方が狭踏肢勢気味ですが、特に能力に影響するほどのものではなさそうです。
広踏肢勢は程度が小さくても割引、狭踏肢勢は余程でない限り目を瞑って大丈夫だと考えています。
どうしても広踏肢勢の馬に出資したい場合は、『斜尻+広踏肢勢』なら、トモの傷みやすさが付きまといますが、外に逃げるエネルギーを高回転のピッチ走法で補えるかもしれません。
『平行尻+広踏肢勢』だと、ストライドが大きく一回のキックで得る推進の重要度が高くなるので、広踏肢勢との相性はかなり悪いと言えます。
まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は歴史的な名牝『アーモンドアイ』と『デアリングタクト』の2頭の馬体診断結果を比較しました。
どちらも牝馬三冠を達成し、これ以上ないほどの活躍を見せてくれている馬ですので、この2頭に共通する項目は『走る馬』を見つける上で重要な指標となりそうです。
今回で言うと、新たにこのような発見がありました。
■胸の広さ■
どちらも広い胸を持っていた。
広ければ広いほど、心肺機能の高さ=能力に繋がると予想される。
■前腕と管の比■
両馬ともに、前腕と管の比が約3:2だった。
前腕が管の長さの1.5倍以上だと優秀という線引きができそう。
■背と腹のライン■
長躯短背はいずれにも共通する特徴だった。
両馬とも、腹のラインが背のラインの1.2倍に近い長さだった。
今後ほかの名馬の馬体診断を進めていく中で、精査していきたいデータのひとつ。
■トモの大きさと骨盤のブレ■
トモの大きさについては、そのまま地面を蹴って生み出す推進の大きさに繋がるので、重要なファクターなのは間違いない。
しかし、骨盤のブレによってその推進が削がれてしまうので、骨盤のブレはかなり重要な指標となりそう。
まだ2頭だけの比較ですから、この発見が正しいものなのかは分かりません。
今後も名馬の馬体診断シリーズを進めていく中で、少しずつ精度を上げていきたいと思います。
皆さまの素敵な一口馬主クラブライフの一助となれば大変光栄です。

最後まで読んでくれてありがとう!

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