こんにちは、おウマです。
今回は馬体診断講座7回目『故障のリスク』の見方についてです!
馬体写真や歩様動画から『馬体に負担が掛かる構造の馬』を探る方法を紹介します。
POG指名や一口馬主の出資馬で悩んでるひとは要チェックだよ!
『故障リスク』のある馬を避けよう!
『馬体診断講座』7回目の今回は、馬体が抱える『故障リスク』を推察する方法と、診断対象箇所がどのように馬体に負荷を掛けるのかについてのメカニズムを解説していきます。
この記事を読めば、あなたのPOG指名馬や一口馬主での出資馬が、順調な競走馬生活を送ることができるのかを探ることができます。
馬体写真と歩様動画があれば、誰でも簡単に実践できる診断方法なので、是非最後までご覧ください。
馬体から『故障リスク』を知る方法
馬体診断で馬の故障リスクを探る主な方法は6つあります。
それぞれの項目について、どのようにしてリスクを診断していくのか、また、なぜ馬体に負担が掛かるのかを解説していきます。
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不正肢勢【膝被り・弓脚】
丈夫な競走馬を選ぶためには運もありますが、見た目で判断できるリスクを孕んだ馬を選択肢から外していくことも重要です。
馬にとって致命傷になるケガが多い前脚は特に注意が必要で、体躯から真っ直ぐ地面に降りているものが好ましく、腕節を境に前腕と管が折れ曲がっているように見える馬は故障のリスクが高まります。
『不正肢勢』を見抜く方法
馬体写真から『不正肢勢』を見抜く方法は、以下の通りです。
① 腕節の中心に始点を置きます
② 始点から上腕の中心軸を通るように線を引きます
③ 始点から球節の中心点まで線を引きます
③ 2線の位置関係は変えずに、上腕側に引いた線を地面に垂直になるように調整します
④ ③で引いた線の終点が、始点の直下にあるかを確認します
⑤ 終点が始点より前方にあれば『弓脚』、後方にあれば『膝被り』と診断できます
『不正肢勢』の馬の評価について
『膝被り』については手根骨の下部に負担が掛かるので、正肢よりは骨折のリスクが高まりますが、ダートであれば意外と持つことが多いです。
よほど大きく曲がっているのは避けた方が良いと思いますが、軽微なものは他に美点があれば目を瞑っても問題ないでしょう。
逆に、『弓脚』は手根骨への負担だけでなく、管の裏を走る屈腱にも多大な不可が掛かる為、どれだけ他が優れていたとしても、出資対象からは外すべきリスクが大きな特徴です。
あとで例として挙げるドリームバレンチノは、重賞を制する稀有な活躍を見せましたが、弓脚の馬はデビューすることもままならないケースが多いです。
『不正肢勢(膝被り・弓脚)』の見方
下記の画像は、実際の写真を用いて前腕と管の軸を視覚化したものです。
タイキフォーチュンは前腕と管が真っ直ぐ接続しており、軸のズレはありません。
この正常な状態を『正肢勢』と呼びます。
対して、軸にズレがあるものを『不正肢勢』と呼びます。
不正肢勢『膝被り/湾膝』
ニホンピロアワーズはとても分かりやすい不正肢勢で、前腕と管の軸が〝くの字”様に明らかに折れ曲がっています。
このような状態を『膝被り/湾膝』などと言います。
不正肢勢『弓脚/凹膝』
対して、ドリームバレンチノは腕節を境に〝逆くの字”に曲がっており『弓脚/凹膝』と呼ばれる不正肢勢をしています。
肢勢の比較
以下の画像は、各馬の前腕と管の軸を比較したものです。
写真のドリームバレンチノは、左前肢を少しトモ側に踏ませているので、角度がごまかされていますが、前腕の軸を垂直に直すと、結構な弓脚であることが分かります。
ちなみに立ち姿の軸足でない方(写真では基本的に右前肢)は、体重がそこまで掛からないので正肢勢でも不正肢勢の様に見えることがあります。
募集している一口馬主クラブに問い合わせるか、歩様動画で右肢着地時の肢勢をチェックすると良いでしょう。
内弧・外弧歩様
ここまでの馬体診断の方法では、馬体を横から見たときの指標ばかりでしたが、馬体を前から見ることで分かることもあります。
馬が歩行するとき、前脚は手先を返して前方に振り出すことで前に進んでいきますが、この振り出し方には馬体の構造による癖が出やすいです。
地面を離れた脚は、本来そのまま真っ直ぐ振り出されるのが普通ですが、内側に弧を描くように振り出したり、外に振り出す歩様の馬もいます。
前者を『内弧歩様』、後者を『外弧歩様』と呼びます。
『内弧・外弧歩様』を見抜く方法
歩様動画から『内弧・外弧歩様』を見抜く方法は、以下の通りです。
① 前を向いた歩様動画を1歩ごとにキャプチャーします
② 3~4歩分のキャプチャーを用意し、縦に並べます
③ それぞれの蹄先に点を置きます
④ 各点を線で結ぶことで、前肢の軌道を視覚化することができます
『内弧・外弧歩様』の馬が抱えるリスク
内・外弧歩様の馬は、真っ直ぐに脚を出す馬と比較すると、以下の様なリスクを抱えます。
関節を回すので余計な負担が掛かり疲れや炎症が起きやすい
交突(自分の脚同士をぶつけること)しやすい
着地時に内(外)にねじるように重心が掛かるので蹄が変形しやすい
しかし、多くの馬がどちらかに分類されますし、装蹄の技術次第で負担が掛からないように調整することができますので、余程強い内(外)弧でない限りは、他の部位での評価を優先して良いと考えています。
『内弧・外弧歩様』の見方
募集動画から『内弧・外弧歩様』を見分けるためには、下記の画像のように蹄先に注目するとすぐに分かります。
内弧歩様の馬
外弧歩様の馬
自分の蹄を球節に当てちゃったとき、これが痛いんだ~
教室で振り向いたときに、椅子の背もたれで肘を打った時みたいな感じかな?
なにその限定的なシチュエーション
人間の学生あるあるだよ!笑
『繋ぎ』と『管』から見抜く故障リスク
それぞれ、過去の馬体診断講座で軽く触れていますが、『故障リスク』にフォーカスして改めて見ていきましょう。
『繋ぎ』の構造による故障リスクとは
馬体診断講座第2回の『馬場適性を見抜く方法』で言及していますが、繋ぎの適正角度は45~55度とされていて、適正角度から逸脱すると故障のリスクが高まります。
故障のリスクが高まる理由は以下の通りです。
【繋ぎが立ち過ぎている馬】
球節でショックを吸収できない
↓
着地時の衝撃を上手く緩衝できない
↓
球節周りの靱帯へのダメージ・手根骨や指骨などの骨折リスクが高まる
【繋ぎが寝過ぎている馬】
球節が深く沈み込む
↓
球節の後ろを通る屈腱や種子骨が引っ張られる
↓
屈腱炎・種子骨の骨折などのリスクが高まる
『管』の構造による故障リスクとは
馬体診断講座第4回の『上半身から馬の能力を見抜く方法』で言及していますが、管が長すぎたり、細すぎる馬は故障のリスクが高まります。
太くて短い骨よりも、長くて細い骨の方が折れやすいことは想像に難くないですが、一応、故障のリスクが高まる理由を以下に記します。
【管が長い/細い馬】
競走中の着地時には全体重が一本の脚に掛かる
↓
骨が長くて細いほど歪みやしなりが生じる
↓
骨折のリスクが高まる
『首』と『尻』から見抜く故障リスク
首と尻から見抜くことができる『故障リスク』についても、過去の馬体診断講座で軽く触れていますが、こちらも改めてフォーカスして見ていきましょう。
『首』の構造による故障リスクとは
馬体診断講座第3回の『距離適性を見抜く方法』で言及していますが、太い首は力強い動きを助ける反面、筋肉がスムーズな首の動きを阻害します。
スムーズな首の動きが阻害されることで、故障のリスクが高まる理由は以下の通りです。
【首が太過ぎる馬】
馬は首を動かすことで自然と重心移動をする
↓
筋肉が動きを阻害すると、力で重心移動をする
↓
背骨のライン上の筋肉が傷みやすい
↓
広背筋や股関節・仙腸靱帯に痛みが出る
『尻』の構造による故障リスクとは
馬体診断講座第5回の『下半身から馬の能力を見抜く方法』で言及していますが、斜尻は高回転馬の脚捌きによる加速力を得る代わりに、筋肉の摩耗が激しく、競走馬としての寿命が短い傾向があります。
故障のリスクが高まる理由は以下の通りです。
【斜尻の馬】
骨盤が立っているのでピッチ走法になる
↓
一歩ごとに進む距離が短くなる
↓
走るために使う筋肉や腱を何度も収縮させる必要がある
↓
酷使された筋肉や腱が傷む
↓
競走馬としての寿命が縮まる
まとめ
この記事では馬体の特徴から『馬の故障リスク』を見抜く方法について解説しました。
記事の内容を簡単にまとめると
『弓脚』= リスク大の特徴
『内・外弧歩様』= そこまで気にしなくてもいい
『繋ぎ』= 角度が極端な馬は故障リスクが高い
『管』= 長く細い管は折れやすい
『首』= 太すぎる首は、背腰の傷みに繋がる
『尻』= 斜尻は筋肉系のトラブルのリスクが高い
この6項目を見ることで、馬体の特徴から『馬の故障リスク』を診断することができます。
最後に、『馬体診断講座』で解説している馬の見方の記事一覧を載せています。
すべて読破いただければ、簡単に馬体診断ができるようになるようにカリキュラムを組んでいますので、是非ひとつひとつ読んでいただければ幸いです。
すでに独自の馬体診断理論をお持ちの方は、気になる項目があればクリックすることで対象の記事を読むことができますので、新しい知識や視点をピックアップしていってください。