
こんにちは、おウマです

こんにちは、ユーマです!
今回は馬業界の”あるある”を紹介します

馬のあるある言いたい~

お、いいねぇ!
ひとつ聞かせてよ

早く言いたい~♪

あ、時間かかるやつね
それではみなさん楽しんでいってください

放牧された時に嬉しすぎてオナラしがち~♪
馬と関わり過ぎた者の末路
どんな仕事でも、その業界ならではの”あるある”が存在すると思いますが、競馬業界(特に牧場関係)にもたくさん存在します。
今回は目次の通り、牧場関係者にはぶっ刺さる”あるある”を紹介していきます。
牧場関係者の方は大いに共感していただき、競馬ファンや一口馬主クラブの会員の方たちは、クラブ関係者と話すネタのご参考になれば幸いです。
目覚めるシックスセンス

競馬のインタビューなどで、騎手が「跨った瞬間に勝てると確信しました」みたいな話を目にしたことがあると思います。
特別な才能を持った人がたどり着く達人の境地のように感じますが、僕らのような一端の牧夫にも、日々の調教の中で勝手に身に着いていく意外とハードルの低い感覚です。
実際に長らく馬に乗る仕事を続けていると、お尻や内モモの感覚が研ぎ澄まされていき、鞍越しに背中の筋肉が動くのを感じたり、内モモと接している馬の皮膚や筋肉の硬さなどで、精神状態が分かったり、馬上以外では全く役に立たない特技が身につきます。
地上から見ても分からなかった機微な歩様の変化も、馬上ではすぐに違和感を察知することができます。
逆に、その小さな動きを察知できていないと、急に馬が暴れたり立ったりしたときに対応が遅れて落馬や転倒といった事故に繋がってしまいます。
言葉では表現が難しいですが、本当に感覚の世界で、
「なんか背中が緊張してるな。」
「あ、横っ飛びしそうだ。」
「右か?左か?」
「左はラチがあるから脚を挟まれないようにちょっと上げとこう。」
「うわ尻っぱねだったァァーー!」
:
ドスン
『この間実に0.2秒!!』
ぐらいの思考をしているような気がします。

最後落ちてるよね?

いや…
む、無理に耐えるより自ら降りる方が大事な時もあるから…
そして、この感覚が極まると、馬上で寝ることができるようになります。
唐突過ぎてなに言ってるかわからないですよね。
北海道では、どこの牧場も早朝5時くらいから仕事を始めて、馬房掃除などの厩舎作業と平行しながら、だいたい7時~12時くらいまで騎乗調教を行います。
牧場には若いやんちゃな子たちが多いですから、前の晩に夜更かしをしたりすると、最後の調教時間あたりに眠気のピークが襲ってきます。
キャンター(駆け足)などのスピード感のある調教中は、アドレナリンが出ているので大丈夫ですが、クールダウン中の常歩の時間が大変です。
暖かい陽気に当てられた日などには、キャンターの緊張から解き放たれた身体に、抗いがたい睡魔が襲ってくる様子は想像に難くないと思います。
サングラスを掛け、静かに目を閉じ、睡魔の甘美なる囁きに身を委ねますが、お尻の感覚だけは研ぎ澄まされています。
日本刀に手を掛けたまま仮眠をとる侍のように、なにか動きがあれば即座に対応できる、いわば『お尻だけゾーン状態』です。
そんな達人の境地でも、必要な状況が迫れば、特別な才能がなくてもシックスセンスに目覚めることができるんですね。

はたから見たら寝てるのバレバレなんだけどね笑

サングラスを掛けて首をもたげてるヤツはアウトです
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死活問題

お尻繋がりで、騎乗員にとっては死活問題となるものがあります。
お尻の”おでき”、これが最強に苦痛です。
キャンター中は腰を浮かすのであまり影響ありませんが、常歩や速歩では、ことある毎にお尻を酷使します。
おできが鞍に当たるたびに激痛が走り、擦れ、潰れ、仕事後のお風呂ではめちゃくちゃ沁みて、治癒するまでは地獄を見ることになります。
痛いだけならいいのですが、やはりどうしてもその部分をかばうように乗るので、いつものバランスが崩れ、いつもなら余裕で対応できていた動きにも耐えられず、コロコロと落馬してしまいます。
痛い上に、落馬による怪我のリスクまで負うことになる「お尻のおでき」。
恐ろしいですよね。

痛そう…

できる場所にもよるんだけど、ドンピシャでハマった時は画鋲を踏んだみたいな痛さだよ

ひぃい~!
傷だらけの背中
ニホンザルの毛づくろいのシーンを見たことがあると思いますが、馬もお互いの背中をグルーミングし合うことで、自分で掻くことができない部分のケアをしています。
特に”たてがみ”の生え際などは、フケが溜まりやすく、手入れをしてあげると鼻を”みょーん”と伸ばして気持ちよさそうな表情を見せます。

【https://banei-keiba.or.jp/】より
そのしぐさが可愛くてついつい夢中になってしまうのですが、馬もお返しにこちらをグルーミングしてくれようとします。
肩から背中辺りを”ガブリ”と。
グルーミングのお返しのつもりなんでしょうが、我々人間の弱い皮膚では受け止めきれない手荒い愛情です。
薄着になる夏場などは、怪我と呼んでいいレベルでがっつり噛み跡が残って、血がにじみ出てきます。
また、グルーミングのお返しならば許せますが、中には攻撃手段として噛んでくる悪い馬もいます。
そういう馬と接する時は、もちろん十分に気を付けるのですが、何か物を拾おうと背中を向けた時など、一瞬のスキを見逃さず噛みついてきます。
さらにタチが悪いのが噛んだあとに引っ張るので、ちょうど大きなクリップで肉を挟んだまま引っ張ったように『ばつんっ』と音が聞こえるほどの衝撃で、痛みに耐えてうずくまるしかありません。
他には、
・ジーンズのベルトループを引きちぎってくる馬
・腕時計を噛み砕く馬
・ポケットに入れた手袋を引っ張り出し、洗い場に落としてびしょびしょにしてくる馬
など、噛み癖のある馬のエピソードは、牧場関係者であればいくらでも出てきて、盛り上がる話題のひとつです。

おウマは引手(リード)を噛むとなんか安心するよ

べちょべちょになった引手気持ち悪いのでやめてもらっていいですか?
長靴のなかで…

馬を曳いていて避けて通れないのが、右足の小指の骨折です。
人間が馬の左側に立って、馬の肩と並ぶように歩くのが正しい曳き方なのですが、まあまあな頻度で右足の小指を踏まれます。
馬が歩いている時は3本の脚が地面についていることがほとんどなので、400kgの軽めの馬だとしても約130kgが、ピンポイントで脚の小指を圧し潰します。
踏まれるたびに毎回
「取れた!今度こそ小指取れた!」
と、悶絶しながらも確認するのですが、案外人体って丈夫にできているんですね。
紫色に腫れる程度で、ちゃんとくっついています。
冬場になれば、雪の上を歩いて足がキンキンに冷えているので、麻痺して痛みが少し和らぎます。
そんな時は「あー取れた。今長靴の中で小指コロコロしてるわー」なんて冗談を言えるくらいの余裕があります。
私は以前、お腹に仔がいる700kg近い繁殖馬に小指を踏まれて、その場では悶絶しましたが、冬場だったので気を確かに持てる程度の痛みで済みました。
また、馬に乗ってしまえばアドレナリンで痛みを忘れるので、冷やしたり湿布を貼ったりする程度の治療で普通に生活を続けることができていました。
後日、別件で足の甲を怪我した際に、ついでに小指のレントゲンも撮ってもらったところ、中節骨(第二関節の骨)が三つに割れて、靱帯が伸びきってるという診断をされました。
医者曰く「もう、離れて固まっちゃってるから治んないねー」とのこと。
骨が折れてても、小指程度なら意外となんとかなるもんですね。

これは絶対みんな経験してるはず!

タンスにぶつけても折れるくらいだもんね

そう、耐えれるから病院に行かないだけで、検査したらみんな折れてるよ

なんて劣悪な労働環境なんだ…!
つい目が行ってしまうこと

これは職業病のひとつと言えると思うのですが、牧場での仕事が長くなると、馬以外の動物の歩様も気になってしまいます。
犬や猫などのペットや、道を横切る野生の動物、最終的には2本足で歩く人間の歩様にも目が行ってしまい、感覚的にどのあたりが悪いのか分かるようになります。
足の先の方が痛いのか、付け根の辺りなのか、痛みの箇所もなんとなく分かるので、放牧帰りに足の先を痛そうに歩いているスタッフに「踏まれた?」と聞けば大概返事はイエスです。
久々に実家に帰って、飼っている犬の右腰が悪くなっていることに、即座に気づいたこともあります。
牧場関係者の方であれば、駅や公園などの人がたくさんいるところでは、つい歩様の悪い人や動物に目を奪われてしまう経験をしたことがあるのではないでしょうか。

おウマも暑そうな景色とかみると、虫がいる気がして尻尾を振ってしまうよ

それはパブロフの犬的なやつでは…?

意外とおっさんみたいなイビキかいて寝がち♪

唐突な馬あるある!笑
最後までお読みいただきありがとうございました!

近くのもの無視して遠くのもの気にしがち♪