走る馬のメカニズム

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強い馬に出会いたい!!
結局何に注目したらいいの!?

このブログでは『馬体診断講座』や『名馬の馬体診断』として、その馬が活躍するかどうかを見分ける方法を伝えてきました。

 
今回は、『走る馬の条件』に焦点を置いて、馬が走るということを以下の目次に沿って詳しく説明していきます。

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結局一番大事なこと

『馬体診断講座』では、馬の能力の良し悪しを探る方法として、以下の6点の特徴を診断する方法を紹介しています。

馬の能力を見抜く方法
  • 胸が広い馬を選ぶ
    →心肺機能に直結するため
     
     
  • 前腕が長い馬を選ぶ
    →前肢の筋肉量に直結するため
     
     
  • 首の使い方が上手い馬を選ぶ
    →馬は首で重心移動を行って走るため
     
     
  • 長躯単背の馬を選ぶ
    →トモからの推進をしっかり前方へ伝え、伸びのある走りができるため
     
     
  • トモが大きい馬を選ぶ
    →トモで推進を生んで前に進むため
     
     
  • 骨盤のブレが小さい馬を選ぶ
    →トモからの推進をしっかり前方へ伝えることができるため
     
おウマ
おウマ

『馬体診断講座』に興味がある方はこちらからどうぞ


 

特に重要な2項目

『馬体診断講座』のあと、『名馬の馬体診断』と称してアーモンドアイやデアリングタクトなど、G1を勝つような顕著な活躍を見せた馬の馬体診断を開始しました。

 
名馬の馬体診断を進めていく中で、上の6項目の中でも特に重要だと感じる特徴が出てきました。


それが、この2点です。

  • 長躯短背
     

  • 骨盤のブレ

 
いずれも『トモからの推進をロスなく前方へ伝えることができる特徴』です。


馬が走るときの推進のほとんどがトモから生み出されるので、そのエネルギーを効率よく使うことがとても大事だということはイメージしやすいと思います。

 
では、推進の根幹である『トモの大きさ』こそ、大事な要素ではないのかという疑問も当然出てくるでしょう。



 


もちろん、トモが大きいことに越したことはありません。

 
しかし、生み出した推進が馬体構造によってロスしてしまってはブレーキをかけながら高性能のエンジンを吹かしているようなものです。

 
いくらトモが大きくても、その推進を活かすことができなければ意味がないという点で、『長躯単背』と『骨盤のブレ』が特に重要だという結論に至りました。

 
 
『馬体の細かいところまでは見てられないから、とりあえず最低限気にするところだけ見ていきたい』

 
という方は、ぜひ『長躯単背』か『骨盤にブレがないか』この2点に注目してみてください。

 


 

結局一番大事なこと

しかし、ここまで紹介してきたことは『馬体の構造上』の話です。

 
馬には『感情』があります。

 
いくら速く走ることができるハード(馬体)を持っていても、ソフト(気持ち)がなければ動きません。


結局一番大事なことは、『馬の気持ち』という走らせてみないと分からないブラックボックスの中にあるということです。

 


『馬の気持ち』の大切さについて、とても端的に、かつ深く捉えた有名な言葉があります。
 

馬を水辺につれて行くことはできても
水を飲ませることはできない


英語のことわざである『You may lead a horse to the water, but you can’t make him drink.』からきた言葉です。

 

『馬の気持ち』について詳しくまとめた記事がありますので、ぜひこちらも読んでみてください。

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馬が走る仕組み

走る馬の要件は『馬の気持ち』であることはご理解いただけたと思います。

 
せっかくここまで読み進めてもらったので、『馬が走る仕組み』についても知っておいていただきたい!

 
馬が好きであれば、思わず「へぇ~」と声に出してしまう豆知識を3つ紹介します。



 
 

走ることに特化した呼吸法

馬は鼻呼吸しかできないことは広く知られています。

 
馬が、というより自然界の動物の多くが鼻呼吸しかできず、むしろ、口呼吸ができる人間はかなり珍しい種族です。

 
走ることが使命の競走馬にとっては不利な特徴に感じますが、実はとても効率的なシステムになっています。
 

走ることに特化した呼吸法


人間は筋肉の力で横隔膜を動かすことで、肺を膨張収縮させて呼吸をします。


馬も平常時は人間と同じですが、走る時には呼吸法が変わります。


走る馬の体内では、下記の1~3のような形で内臓のピストン運動が発生しています。
 

馬の体内での内臓の動き
  1. 馬が地面を蹴って前に進むと、固定されていない内臓はその場に留まろうと慣性が働いて、体内で後方に移動する。

     
  2. 着地をすると減速し、今度は慣性が進行方向に働き、内臓は身体の前方へ移動する。

     
  3. 再び地面を蹴って推進力を得ると、内臓も再び後方へ移動する。


 
『1』によって内臓が後ろに移動するので、肺も後方に引っ張られ、広がりながら空気を吸入します。

 
そして『2』によって前方に移動した内臓の力で、肺は圧縮されて空気が吐き出され、『3』によって再び空気を吸入します。

 
馬は、この体内のピストン運動により、肺の膨張収縮を行って呼吸をしているのです。

 
したがって、空気の通り道は一つである方が効率が良く、口呼吸ができないことが不利に働くことはありません。

 



 

馬の心臓

馬の心臓は人間の心臓の約20倍の大きさです。

 
一般的に、身体の大きさに比例して心臓も大きくなっていくことは、ネズミと象の心臓の大きさを考えれば容易に想像できることです。

 
心臓の重さに関する研究の結果によると、心臓の重さと体重には、

心臓の重さ=体重×約0.0055
(体重の約0.55パーセント)

という関係式があることが分かっています。

 
人間の心臓の重さは200~300グラムと言われていますので、成人の平均体重を58キログラムとすると、約0.4~0.5パーセントの重さで、上の式にかなり近いことが分かります。

 
体重が約120トンもあるシロナガスクジラの心臓は、約600キログラムと言われており、軽自動車一台分の重さになるそうです。

 
想像もつかない大きさですが、これも、体重に対する心臓が占める割合を測ると0.5パーセントで、人間の比率と大きな差はありません。


 


それでは馬の心臓はどうでしょうか。

 
馬(サラブレッド)の体重は約400~500キログラムなので、式の通り0.55パーセントだと、心臓の重さは2.2~2.8キログラムになるはずですね。

 
しかし、実際は約5キログラムもあり、体重に対する心臓が占める割合は1パーセントで、一般的な数字の約2倍の比率です。

 
一流の結果を残した競走馬の中には、体重の1.5パーセント、約7キログラムの心臓を持っていることもあるようです。

 
速く速く走れるように品種改良をされてきた結果と言えますね。

種類体重(キログラム)心臓重量(グラム)心臓重量比(パーセント)
582500.51
シロナガスクジラ120,000600,0000.5
馬(サラブレッド)4505,0001.1



 

走行速度の世界記録

これは余談なので、読み飛ばしてもらっても構いません。

 

一般的に、馬は時速60~70キロメートルの速度で走ることができます。

 
1ハロン=200メートル(※)を12秒で走ったとした場合で時速60キロメートルです。

 
競馬のラップタイムで12秒台は頻繁に見るので、速さのイメージがしやすいですね。

 
(※正しくは1ハロン=201.168メートルですが、日本の競馬では1ハロン=200mに換算しています。)

 

では、最後に問題です。
馬が競馬で記録した世界最高速度は、時速何キロメートルでしょう?

 
答えは『時速84キロメートル』です。

2005年にアメリカで行われたスプリント戦で計測されました。

ユーマ
ユーマ

ちなみに時速84キロメートルだと、1ハロン『約8.6秒』です

おウマ
おウマ

8.6秒!?
脚ちぎれる!!

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まとめ

この記事をまとめると、

走る馬体の馬に出会うことができても
馬を走らせることはできない


我々人間は無力ということですね。


ユーマ
ユーマ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

おウマ
おウマ

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